【またかよ…】クラウドストレージは必ず容量無制限では無くなる【子育てママ、パパ向け子供の写真データ管理術】

【またかよ…】クラウドストレージは必ず容量無制限では無くなる【子育てママ、パパ向け子供の写真データ管理術】

本記事の対象者

本記事は、子育て中のママ、パパに向けた記事である。ママ、パパは子供のお出かけ、成長記録を写真や動画に残す。これらの記録について、半永久的に残す方法を述べたものである。

最優先される項目は「残ること」。これは至上命題である。子供の写真、動画は、消えてしまったら致命的である。写真をほぼ印刷しない時代になったからこそ、この「残ること」、「消えてしまわないこと」の重要性は増している。

次に優先される項目は「コスパ、タイパ」である。どれだけ半永久的に残せるといっても、その手間が大きいのであれば日々の写真、動画データが億劫になってしまう。いかに簡単に日々のデータを管理できるか、また、祖父母と共有するか、という点を重視する。

その次は「画質」である。これは、いかに撮影時そのままのオリジナルデータを残せるか、つまり圧縮等されずに残せるか、という点である。「見れれば良い」というレベルから一歩踏み込んだデータ管理術を模索していきたい。

結論

先に結論を言うと「ローカル(自宅)にサーバ買って保存するのが最強」である。クラウドストレージつまりインターネット上の保存領域にはたびたび裏切られ続けるためである。

以下はクラウドストレージの惨劇の歴史である。

繰り返される悲劇

クラウドストレージとは、GoogleやDropbox、amazonが提供しているオンライン上にデータを保存できる領域のことである。

クラウドストレージ提供サービス開始時には「保存容量は無制限」とうたいつつも、ほぼ必ずと言って良い確率で、容量制限を設けてきた。ほぼ全ての事業者が、だ。

いまのところ、容量無制限をうたっているサービスはYahoo!かんたんバックアップ(2023/12/29時点でLYPプレミアム会員が対象であり、月額税込508円)である。これは良いことである。しかしこのサービスは手動アップロードが不可能なようで、自由にクラウドストレージ領域を使えるという要件は満たせていないように思う。

もう1つ、個人使用で、写真と動画のみ、という条件になるが容量無制限サービスとして存在しているのが「みてね」である。

私が容量無制限のクラウドストレージを使う目的は、子の写真と動画を無期限、かつ容量を気にすることなく保存したい、というものである。

みてね、は良いが、要件を満たさない

みてねは、株式会社MIXIが提供する子育て家族向けの写真、動画共有サービスである。月額480円(税込)を支払い「みてねプレミアム会員」になれば、容量無制限で任意の写真と動画をみてねのクラウドストレージにアップロード可能であり、なおかつ招待した家族はアプリ経由もしくはPCのブラウザ経由でその写真や動画を見ることができる素晴らしいサービスである。

ただ、「容量無制限」という要件を満たしてはいるものの、アップロード時に写真、動画の画質が圧縮されてしまうという点が唯一のネックである。

クラウドストレージ提供者からしてみれば、容量圧縮せざるを得ない事情があることは非常によくわかる。また、みてね会員は第一目的として家族に子の写真を見てもらうことが優先であり、画質については優先度が下がる。要はみてねとは「そこそこの画質でも良いから、容量を気にせず保存できて、じぃじ、ばぁばに手間かけさせることなく写真と動画を見てほしい」というニーズを満たすサービスであり、高画質にこだわっているユーザは別途何らかの手法を考えてね、というスタンスである。

Googleドライブ改悪事件

2021年6月1日からPixelユーザがPixel経由でアップロードする写真、動画ファイルであってもGoogleフォトの容量を消費する、という変更(改悪)があった。

それまではPixelユーザがPixel経由でアップロードする写真、動画ファイルであれば、容量無制限(Googleフォトの容量を消費しない)であった。

2020年ころの私は、Googleのポリシー「Don’t be Evil(邪悪になるな)」に共感し、Googleの大ファンであった。上記のGoogleフォト容量が実質無制限ではなくなろうとは夢にも思わなかった。しかし、2021年になり、容量無制限ではなくなるアナウンスがされた。私はGoogleに「裏切られた」と感じた。

もう何も信じられない

Googleの容量が制限有りになり、みてねも元から圧縮画質で保存される仕様である事実を認識したとき、私はこう思った。

「自分で好きなように使える、容量無制限が永久に続くクラウドストレージなんて、無いんだ」

実際のところ、無い。厳密には現時点では有るとしても、いつその容量無制限という条件が外れるか、という点については、誰もわからない。また、永久に容量無制限が続くということは、これまでの流れから言ってほぼ無いといえる。経験則から、必ずと言い切れるレベルで、いつか改悪される。

じゃ、どうする?

クラウドでだめならオンプレミスである。オンプレミスとは自宅に写真、動画用のファイルサーバを置くことである。オンプレミスが前時代的であるという風潮は否めない。なるべくなら私もオンプレミスでのサーバ運用なんてやりたくない。しかし、クラウドストレージの体たらくを見ていたら、もう消去法でオンプレミスしかないじゃん、となってしまう。

具体的にオンプレミスでファイルサーバを運用する、ということはどういうことか?もう少し詳しく説明すると、4ベイ程度のNAS(ナス。ファイルサーバのこと)を4万円くらいで買って、適度な大きさのHDD(ハードディスク)を2台買い、取り付け、ディスク冗長化(RAID1、レイド1という)を施した上で、スマホやデジカメからNASへアップロードする、という運用方法である。HDDは4TB2本で1万円程度。合計金額は本体とHDDDあわせ5万円くらい、となる。

実際にやってみた

実際にASUSTORの2ベイNASをAmazonで2万円程度で買い、4TBのHDD2本をメルカリで1万円程度で買った。RAID1構成を組み、ASUSTORのアプリ「AI foto」をスマホにインストールした。アプリはバックアップに関しては優秀で、スマホに保存された画像と動画を自動的にNASへバックアップしてくれる。2022年8月から稼働開始し、2023年末時点つまり稼働開始後1年半程度で4TBのうち0.5TB程度を使っている。私は非常に撮影が好きであり、休日に子供と出かけると1分の動画を10本くらい撮影する。このペースのまま、1年半あたり0.5TBを消費していったとして、あと10年は容量的に耐えられる。

時間がたてば容量あたりの単価も下がる。しかし時間がたてば画質つまり動画1本あたりの容量も増える。このへんはうまいこと平行線でいくのではないか、と思うので、多少楽観的に見てもあと10年はもつと予想できる。

使用容量を公開

  • 動画
    スマホで動画撮影した。1年半(2022年8月~2023年12月)で動画985本、4K画質、で475GB。2分の動画で約1GBなので、475×2=950分=15時間分の動画を撮影し、500GB弱という結果になった。
  • 写真
    スマホで写真撮影した。1年半(2022年8月~2023年12月)で6,500枚、サイズは3,024×4,032、RAW保存はしていない。23GB。1枚あたりは6~8MB。

NASを使ってみた感想

  1. SSD積めば良かった
    HDD2台の構成で組んだが、ファイルの閲覧が遅い。PCから見る分には遅くないのだが、スマホアプリ「AI foto」から1分程度の動画を再生しようとすると8秒ほど待ち時間が発生してしまう。
    SSDは高くない。TBW高めの「高耐久」を買ったほうが良い
  2. 筐体は大きくない。‎165(高さ) x 102(幅) x 218(奥行き) mm。動作音もほぼ無音。ルータの隣に置いても違和感が無いサイズ。
  3. AI FotoはAndroid TV等にキャスト不可。キャストしたい。QNAPやSynology製の写真管理アプリを使って比較してみたいところである。
  4. HDD故障時は1本ずつ交換する必要がある
    HDD故障時にはメール通知される設定ができるため、これをONにする
  5. HDD容量増加させる時はどこかに退避してから換装する
    容量不足時には一旦仮でどこかにデータを退避し、その上でNAS内のHDDを換装する必要がある

コスパはどうなのか

一般的な子供2人家庭で、きょうだいの年齢差が3歳の場合、写真を保存しておくべき期間というのは第一子が生まれてから第二子が結婚し自分の幼少期のデータを自分で保管する能力を備える25歳位まで、と考えると、28年間はデータを安全に保管する必要があると考える。

保存すべき容量サイズはGoogle One上(圧縮済)で350GB、ローカル(未圧縮)で、その10倍の3.5TB(3,500GB)と想定しよう。

ローカルのNASで運用する場合、28年中、2回のNAS故障等により買い替えを想定すると1回あたり5万円で、合計150,000円程度となる。それを高いと見るか安いと見るか、は意見の分かれるところであろう。決して安くはない。

比較対象としてGoogleのクラウドストレージであるGoogle One上で350GBを保存しようとすると。プラン的に2TBが必要である。2TBプランは年額13,000円であり、28年間なら364,000円である。

ちなみにGoogleフォトも圧縮保存されているので、元の画質ではない。NASはオリジナル画質で保存できる強みが有る。メリットとデメリットを表にまとめたい。

ローカルNASのデメリットは地震等で家が潰れたら無くなること。しかし最低限みてねには存在している。これを許容できるか。

また、究極的な話、既存のインターネット用フレッツ回線+VPNルータ2台(RTX810、1台5千円で良い)+もう1台NAS本体があれば遠隔地バックアップも自前で組むことができる

まとめ

とにかく子供の写真、動画は絶対に紛失したくない。データ主流の世の中、印刷しない世の中で、データを半永久的に残すというのは思いの外リソースを消費する体制づくりが必要である。なくなると子供の結婚式の時に何を言われるかたまったもんじゃない。

ある程度の知識があればローカルNASで写真保存する運用がコスパ的にも最適であり、予期せぬ(というか既定路線の)クラウドストレージの改悪や価格改定に振り回されることもなくなるため、ローカルNASでの運用をおすすめしたい。

【おまけ】クラウドストレージに保存される画質、今後の展望

近年ではAIの発達により、写真1枚から動画を生成したり、はたまた3D空間を生成したりすることもできてしまう世の中である。その中で、一体「非圧縮である」写真や動画データの優位性というのはどこまで維持されるか?というのは少し疑問ではある。つまり、ある程度の画質であっても、データさえ残っていればあとはAIがうまいこと補完してくれる、という世の中がもうすぐそこまで迫ってきているということだ。

オリジナルの画質にこだわる、という観点は、すぐ先の将来において「写真は現像しないと駄目だ」といった時代遅れの概念になるかもしれない。むしろ、Google One上に「最適な形で圧縮された」画像や動画でないと、うまく補完すらしてくれない、といったデメリット発生も考えられうる事態になってきている。

補完された画像やデータが一体どこまで本物として認められるのか、それはデータを作成した人、それを見る人達のその時の常識によって大きく変わることであろう。人間の脳内における記憶というのは非常に曖昧であることが最近の研究の結果わかっているため、人間の脳内記憶に近しい形で補完してくれるAIのほうが、皮肉にもリアルな思い出として受け入れられる可能性だって十分にあるからだ。つまり「AIが補完してくれないと、リアルすぎてこの写真は嘘っぽいといった言葉が飛び交う未来が、もしかしたら現実になるかもしれない、ということである。